梅雨入りが今年はひどく早いようですが、それに合わせて困った虫の活動も活発になってきました。害虫が嫌がる匂いを出してくれる虫除けハーブが脚光を浴びていますがうまく育てられていますか?
「ハーブの鉢を窓辺に置いて虫除け」に挑戦された方、思ったより難しいと感じているのではないでしょうか?
- ひょろひょろ長く伸びて葉っぱが黄色くなり元気がない。
- ローズマリーが根元から枯れた。
- 防虫効果があるはずのミントの新芽にアブラムシが密集してる!なんてことにも。
鉢植えは限られた入れ物の中で植物に無理をさせて育てています。では、外に植えたらどうでしょう?ストレスの少ない大きなプランターや花壇での地植えがオススメ。
今日は地植えにできる虫除けハーブ4種類と育てるコツをお届けします。
この記事は、ジャパン・ガーデナーズ・ネットワーク創立メンバーであり、ハーブの本場イギリスで20年ガーデナーをされているリグデン美佐子さんのアドバイスをいただいています。
この生地を最後まで読めば今年の夏はきっとあなたも虫除けハーブ栽培に成功できる!
虫除け地植えでも育てやすいハーブ|アルテミシア・サザンウッド
蚊除けなら迷わずこれです!蚊ばかりでなく、ハエや蛾にも効果あり。
オーストラリアでは「蚊よらずハーブ」として、古くは、森に入る前には葉っぱを摘んで揉み、肌に擦りつけて使われていたのです。
羽毛のような細く青みがかったシルバーリーフは、レモンとアニスの香り。乾燥葉はタンスにしのばせ、ウールなどの衣類の防虫に!ポプリに混ぜても素敵です。
1メートル程度まで伸びますが、爽やかに茂る姿は庭の一員として観賞用にもなります。前庭や縁側近くに植え、夕方葉っぱを撫でて匂いをまき散らすのが防虫のコツです。
アルテミシア・サザンウッドの育て方
とても簡単です。なぜならヨモギの仲間ですから。野生のヨモギより少し優しくしてあげればいいだけです。
どういうことかというと、水はけの良い日向に植えて、萎れるようならお水を上げる、だけです。水はけが悪いと、根っこから腐ってしまいます。
肥料は、地植えなら特に必要ありません。元々痩せた土地に生えている植物です。冬には地上部が枯れますが、春になれば新芽が地面から伸びてきます。
アルテミシア・サザンウッドについてリグデンさんから一言。
日本の夏の高温多湿に耐えられるハーブって実は少ないんです。ラベンダーもローズマリーも夏越しが難しかったりします。
その点、このアルテミシア・サザンウッド、これからもっと注目を浴びるべきです!
虫除け地植えでも育てやすいハーブ|ローズマリー
ローズマリーは、蚊やダニ、ハエ、ブヨ、ゴキブリなどに防虫効果が期待できます。しかし、屋内、窓辺での栽培には限界ありです。
窓辺においた鉢植えのローズマリーが上手く育たないのは、まず日照不足と気温の乱高下、水はけの悪さです。
鉢土がいつも濡れているようでは、株元から腐ってしまいます。通気性が悪いと、葉に白い粉をまぶしたような点々が出る「うどん粉病」にかかります。
そこで地植えのおススメ。
元々1.5メートルほど大きくなる低木ですので、外で大鉢やプランターに植えるか、地植えで伸び伸び育てましょう。
そうすれば病害虫に悩まされる率も減ります。そして必要に応じて枝を切って使えばいいです。いかに例を挙げますね。
- 窓辺に活けておく
- 勝手口の外に切り枝を並べる
- 乾燥すると葉っぱが落ちて散らばるので、葉っぱだけを封筒に入れてゴキブリの通り道になりそうなところに置いておく
- 乾燥葉をポプリに混ぜる
- 煮だし汁を霧吹きに入れスプレーにする
などなど!
ローズマリーの育て方
ローズマリーは高温多湿が大嫌いです。日向の水はけのよい場所を選び、風通しを考えてください。
そして「株間を開ける」ことです。周囲に他の植物が無いことが望ましいです。それでなくても、ふさふさと茂る自分の葉っぱで蒸れてしまいがち。
限られたお庭で、ローズマリーの周りに何も植えない部分があるのはもったいないと感じられると思います。
その場合はラディッシュ(二十日大根)を植えて収穫するとか、背の低いほふく性のタイムやローマンカモミールを植えておくのも手です。
ローズマリーが大きくなるにつれて場所を空けていけばいいのですから。
しっかり根付いたら、水やりさえも必要なくなります。肥料も欲しがりませんし、常緑樹なのでそのまま冬越しできます。
※東北地方以北や標高の高い地域では園芸用不織布などでの防寒してあげて下さい※
ローズマリーについてリグデンさんから一言
ローズマリーの剪定は、「株元の葉っぱのないところで切ってはいけない」と言われます。茎の全部をそこで切ってしまったら枯れますが、例えば5本ある茎のうち1本を切り捨てても大丈夫です。
風通しを図るために、この枝抜き剪定をしてあげてください。盆栽仕立てもオススメです。
虫除け地植えでも育てやすいハーブ|タイム
タイムは蚊やダニ、ハエ、ゴキブリなどに対する防虫効果が期待できます。特にレモンタイムがおススメで、なぜなら蚊はレモン系の匂いが苦手だとされているからです。
タイムの凄いところは除菌や防腐効果があること。
ペニシリンなどの抗生物質が発見される前はタイムを除菌に用いていましたし、今でもマウスウォッシュに使われています。
ドライフラワーにしても匂いが変わらないので、庭で育てるばかりでなく、枝をキッチンに常備しておくといいと思います。
お料理には、肉や魚の臭み消し・煮込み料理のブーケガルニとして必需品で、ついでにゴキブリが侵入をためらってくれるのなら、良いこと尽くしです。
玄関先や勝手口付近、植え込みの一番手前辺りに3株、5株とグループにして植えると見栄えがいいです。
ただ、生育条件のよいところに植わって勢いよく育つと、2~3年でパタッと枯死することがあります。残念ですが寿命だと思って新しい苗に代えてください。
タイムの育て方
ローズマリーと同じです。日当たりと水はけが良い場所に植えてください。高温多湿が苦手ですので、風通しの良いところに。
草丈が小さいので、ローズマリーより夏場の強い日差しに弱いです。太平洋側など所によっては、遮光ネットが必要かもしれません。
地中に根付いたら水やりは必要なくなります。蒸れを防ぐために、梅雨前か終わりに、株全体を半分に切り戻してください。
タイムについてリグデンさんから一言
イギリスではわざわざ敷石をここかしこ抜いて植穴を作り、タイムを植えます。踏みつけて匂いが出ることを狙っているのです。
特にほふく性のタイムは強健なので、踏んで虫除けをすることも考えられます!
虫除け、地植えでも育てやすいハーブ|ペパーミント
ペパーミントは蚊やゴキブリ、クモ、アリへの防虫効果が期待できます。
ミントが窓辺ですくすく育ってくれると助かるのですが、これがまた難しい。元気に育っているかと思うと鉢の中を地下茎がぐるぐる回って根詰まり。
元気なさそうだと思うとアブラムシやハダニがついていたり。葉先がヘンに丸まっていると思うと幼虫がひそんでいたり。(ベニフキノメイガ幼虫)「虫除けになるなんて嘘だろ!」と叫びたくなります。
地植えにすると、うまくいくと広がり過ぎるのですが、花瓶に差しておくだけで根の出る性質です。一株庭先にあれば増えすぎて困ることはあっても足らなくなることはないですよ。
また、地植えでは幼虫に食害されたとしても、全滅することはありません。生態系の一部として、少し分けてあげているくらいの気持ちでいればいいのです。
ペパーミント、スペアミント、アップルミントなど種類が多いので、どれが一番虫除けになるのか気になるかと悩むと思います。
匂いの強さ、そして主成分のメントール含有量からすると、ペパーミントが一番です。ミントティーやお風呂に浮かべたり、ケーキやアイスの付け合わせなど、活躍の場の広いミントですが、虫除け用には煮だしスプレーがおススメです。
ペパーミントの育て方
アルテミシアやローズマリー、ラベンダーとの違い、夏の強い日差しが苦手です。そして土中に湿り気があるほうが好きです。
日向でもいいのですが、暑すぎる日のことを考えると半日陰がベストです。
ただし、植えた場所が気に入ったら爆発的に増えます。その対策としては下記です。
- 20センチくらい深さのある植木鉢に植え、それごと地面に植える
- 板やレンガを地面に埋め込み、それ以上ははびこれないようにする
ペパーミントについてリグデンさんから一言
イギリスでは金魚や鯉をいれず、とんぼなどの昆虫やいもり、かえるなど、野生の両生類を庭に呼び寄せる池が流行っています。
しかし、問題は、ボウフラが増えること!
イギリスの蚊は日本の蚊ほど攻撃的ではなく簡単に潰せるのですが、ボウフラを食べる魚のいない池には、ミントの葉を浮かせておくといいと言われています!
虫除け、地植えでも育てやすいハーブ|リグデンさんから全体コメント
1、蚊除け植物の代表はシトロネラ・グラスです 全世界でエッセンシャルオイルが使われていす。
2、生の植物を扱う場合の留意点として、肌が負けたりアレルギー反応が出ることがあります。
3、それぞれのハーブの匂いに好き嫌いがあると思います。
4、最後に、虫除け植物をたくさん植えたから効果が出るというものでもありません。
ハーブで虫除け? 地植えでも育てやすい種類4選とコツを紹介!まとめ
今回は虫除けになるハーブ4種を地植えにする場合の留意点をご紹介しました。
- アルテミシア・サザンウッドは暑いところに。
- ローズマリーは株間、枝間をすかして。
- タイムは梅雨に切り戻す。
- ペパーミントは日陰、水分必要。
鉢植えで苦労された方も、是非今度は地植えに挑戦してみてください。たったこれだけのことで、うまくいきますから!
それぞれの植物が育ちやすいところを見つけてあげられるかどうか、ガーデニングはそれに尽きます!
そして花瓶に活けたりやドライフラワーにして屋内に取り込み、蚊やゴキブリ、ハエやブヨ、困った虫たちが迷い込んでこないようにしましょう。
素敵な夏になりますように。
ハーブで虫除け? 地植えでも育てやすい種類4選とコツを紹介!から提案
園芸用不織布:防寒用には植物の頭から被せて固定してください。
園芸用遮光ネット
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